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Romance夢紀行

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A Stroke of Midnight/ローレル・K・ハミルトン あらすじ

※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、 内容が間違っていても笑って読み流せる方だけ読んでくださいね 。

以前は借り物だったメリー自身の親衛隊を持つことが許されていて、最初のほうからのメンバーであるドール、フロスト、ゲイレン、ニッカ、キット、バリンサスのほかにも新メンバーとして猫っぽいウスナ、ケルの取り巻きで心を閉ざしている感じのアマテオン?、ホースローン? アデア?オニルウィンが加わっています。

メリーが親衛隊たちと、暗殺未遂事件について記者会見を開きますが、参加したらしいカメラマンがメリーの友人でもある菓子職人と共にアンシーリーコートで殺されるという事件が起こります。科学的手法で操作したいとオンディーアイス女王に願い出て、駆け引きの末に捜査権をゆだねられたメリー。妖精族との警察のパイプ役になっている人物を主任捜査官として呼び寄せ、捜査を始めようとします。そんな彼らの前に、女王の新しい親衛隊長になったミストラルと、その部下たちが立ちふさがります。

以前にもまして、メリーの女王としての自覚が育ってきているのが感じられます。いまはまだ女王ではないにしても、臣民を守れない人物が女王としてふさわしいだろうかと、時にはオンディーアイス女王の怒りやメリーの命の危険を恐れて親衛隊に引き止められることがあっても正しいと思われる道を進もうとします。そんなメレディスのことをAdair アデア?エイドエアー? は「ameraudur」と呼びます。また無駄な王族のひとりか、という彼のメリーへの軽蔑の視線が先日の夜会でのオンディーアイス女王の狂乱を押しとどめたメレディスの無茶ともいえる無謀な勇気を呼び起こし、彼らや宮廷を救ったと考えていたからのようです。この称号は、その人物への愛情によって捧げられるものであり、血脈によって伝えられる王や女王という称号よりもより尊敬されるもので、メリーの父エスス王子も周囲にそう呼ばれていたそうです。その絆の深さは、戦場に出掛けてその称号を捧げた人物が亡くなり、自分が生き残った場合は恥いることになるようです。実際エスス王子がスペインで暗殺されたとき、2名の護衛が命を絶ち、その数は彼が立派な人物であったことを表していたようです。メリーは自分はその称号に値しない、そう呼ばないでとかれに頼んでいました。

ミストラルは殺人現場の応援に女王から差し向けられたようです。メリーの魔法の指輪をはめた手が彼に触れると、ミストラルとの間に大きな魔法が発動し、彼が手放したはずの風と稲妻の能力が蘇ります。そして二人の交歓から生まれた魔法で、子供の影のようなものが現れます。妖精のような羽をもつニッカと、その場に居合わせたらしいビッデというエスス王子の元護衛だった女性がメリーとミストラルによって結ばれますが、どうやらその子供の影はこの絆から生まれてくる彼らの子供の姿だったようです。

魔法の指輪によって結ばれたカップルを引き裂けば、指輪はまた消えてしまいます。おそらく繁殖力の弱まっている妖精族の存続やアンシーリーコートそのもののためにも、目覚め始めた女神と伴侶の恩恵は絶ってはならないものですが、オンディーアイス女王をうまく説得しなければなりません。女王をよく知るドールやフロスト、リースなどがメリーに助言していました。

オンディーアイス女王がエスス王子の殺人が起きたとき、首謀者は魔法で調査して犯人を捕まえるといってFBIの化学捜査は圧力をかけやめさせたにもかかわらず迷宮入りしてしまった経緯があります。エスス王子は女王からみると弟にあたります。メリーは彼女が17歳のころ父の死の捜査をしてくれたFBI捜査官ジレーに、似た類の事件が身近で起これば連絡しますね、と約束していました。その後も折に触れてカードのやりとりなどはしていたようです。今回の宮廷で起きた2件の殺人事件は一見似ているようには見えませんが、どこかひっかかるものをかんじ、ジレーに電話します。メリーは情報を伝えただけのつもりでしたが、ジレーはFBIの同僚に連絡したようで、宮廷の外にメリーが地元の警察官たちの小さなグループのほかにFBIのグループが押し寄せてしまいます。

警察官たちに会いにいくためいったん着替えに戻ったメリーのまえで、ドールが突然キレてしまいます。突然のことに驚くメリーですが、横にいたフロストはドールに理解を示します。ドールは女王から授けられた魔法の指輪がミストラルに反応し、新しい絆という大きな恵みをもたらしたと考え、指輪が伴侶を選んだんだと理解し、自分たちはまたメリーとの生活以前に戻るのかと、戻れない!と絶望から泣き崩れます。

指輪がミストラルを伴侶として選んだと知り、驚くメリー。それはつまり伴侶への忠誠を意味し、ドールやフロストとの関係の終わりをも意味します。ところが本来指輪が選んだ伴侶、魔法のカップルであれば、心から愛する相手を選ぶはずにもかかわらず、メリーにとってミストラルは単に肉欲が反応した相手にしかすぎませんでした。そのためよく考えてみると、魔法の指輪をつけて関係をもつと予測しえない魔法を呼び起こしてしまうため、指輪を身につけて護衛兵たちと関係をもったことはないかもと気が付き、またミストラルを伴侶と考えるのは早計ではと慰めます。

ひとまず寒い中で待たせている警察官たちと、彼らともめているらしいFBIたちに会うべく急ぐメリーたち。寒さの中に出てみると、メリーは自分と人間のハーフであるビッディだけが寒さを強く感じていることに気付きます。人間の血に巧妙に仕掛けられた罠のようです。ドールは数名の護衛兵と、メリーから引きはがした魔法の痕跡を追跡しに飛び出していきます。

メリーはいがみ合う警察官たちを、自分が今回の責任者だということをはっきりさせ仲裁し、自分たちを除外するなら今後協力しないというFBI捜査官を、昔からの知り合い大統領夫人に電話して、彼女から圧力をかけてもらい、とりあえず初動捜査から押し出すことに成功します。

ドールたちがなかなか戻らないため、彼らがどうしているのかゲイレンに確認させるため送り出しますがメリーは胸騒ぎがします。

宮廷の外の厳しい寒さに備えて長いマントを着用し、すっぽりとくるまれているメリーですが、その内側では手の中に秘宝が現れました。メリーが以前夢のなかでみて、起きてみると実際に品物を手にしていたという不思議な品です。

その秘宝がパワーを発揮し、メリーのなかに女神を呼び出します。気が付くとメリーは、以前は大地のシーだったアマテオンと共に異次元にいます。アマテオンはメリーを純血のシーではない、とみなし自分には名誉がないと殻の中に閉じこもっている雰囲気の護衛兵です。そこの土は乾ききっていて、メリーの口を借りて女神が、犠牲を捧げるようにいい、アマテオンは首を伸ばし、刀を首にあて、自分の血で大地を潤し、命を与えるということに納得しきった風情です。この異次元でアマテオンを殺しても、それは仮の死であり、実際の世界では命がなくなることはないということでしたが、メリーは納得できません。命の交歓をして、アマテオンの種を大地にこぼすことで代用できるのではないかと考え、自分のやり方をとおします。土埃にまみれながらゆっくりとお互いを知っていく二人ですが、二人の魔法がまじりあうと大きな魔法を呼んで、しまいには大地は潤った土へと変化していきました。

本来なら満ち足りた気持ちで終わるはずのパワーの解放でしたが、気が付くとそこにアマテオンはおらず、横にいるフロストは緊張した面持ちです。誰かから守ろうとしていますが、メリーは血の海に横たわっているゲイレンと、その横に倒れている人物に気が付きました。

ゲイレンがいつか、自分ではない女性と幸せになっても、彼が幸せでいてくれるならそれでいい、と考えるようになっていたメリーでしたが、彼がいなくなってしまう、あの微笑みがこの世から消えてしまうことには耐えられない気持ちになったメリー。純血のシーであっても、大量に出血しすぎると、肉体を再生する力が流れでてしまい、生き延びることができません。

その場に捕虜として囚われていたケルの護衛兵である女性たちのうち、ハーフィンという女性が私が彼の血をとめることができます、と申し出ます。彼女はエスス王子の元護衛というより治療師で、彼女の意思とは関係なく、エススの死後ケルの護衛兵へと転身させられたため、忠誠は誓っていないということをはっきり表明し、もし彼の傷を治したら、メレディス王女に借りをつくれますか?と尋ね、ゲイレンを治してくれます。ハーフィンはメリーの護衛兵に志願し、メリーは受け入れます。

まだ治療の力が残っていますからメリーを治療しますか、とハーフィンは言いますが、メリーはより重症のものを治してほしいと頼み、周囲の護衛兵のなかには内心驚いた様子のメンバーもいました。

アイスリングという護衛兵は傷を負っているようですが、フードとマントをなかなかはずそうとせず、ハーフィンが傷を確認できません。明らかにアデアも重傷を負っているため、メリーはイライラしてなぜアイスリングがフードをとらないのかと尋ねると、彼はメリーの人間の血が強すぎて自分に魅惑されてしまうと懸念しているようです。メリーが大丈夫だからと請け合い、アデアのほうが重症だということが確認できて、ハーウィンはアデアの治療をすることになります。

残りのケルの護衛兵たちのうちメンガレルという女性のシーは、メリーになぜガレンを殺そうとしたのかと尋ねられてもこたえようとしません。メリーはアイスリングにメランゲルを魔法で魅惑して答えを引き出すようにと命令します。ケル王子はブロンウィンの涙を持ち出した罪で刑に服する前に、予言を得ていたようです。メリーは緑の男の助けによって、宮廷に命を蘇らせると。また肉と血をもった人物が王座を得たら、ケル王子は死ぬだろうとも。ケル王子はゲイレンを抹殺するように命じていたようです。

メランゲルはこれ以上秘密を話さないでいられるよう自分の眼をくりぬき少し正気を取り戻したようです。女王の前でも牢でもどこでもいいからアイスリングから離れた場所に連れて行って欲しいと頼み、メリーはフロストに捕虜の扱いをどうしたらよいか助言をもとめ、メランゲルや一緒に囚われていた護衛たちは牢獄へ送りメリーからの次の沙汰を待つように、またシーの貴族であるキエランと重傷を負った貴族イニスは女王の元に連行し、事態を説明するように、と命じることになります。

科学捜査班のメンバーが現場でどうやらなにか発見したようです。ただしパソコンなどの電子機器は一切宮廷では正常に動作しないため、人間界に戻って分析する必要があるようです。その証拠は裁判にかけられることなく、シーによって裁かれ、死刑になるだろうとの判断から、慎重に判断したいと捜査官がメリーに言ってきます。メリーは、容疑者の名前だけでも教えてもらいたい、2日間で2回の暗殺の試みがあり、生き延びるために必要だと話し、いろいろ駆け引きの末、科学捜査官が死体に残されていた犯人の指紋がとれて、ピーブロッサムのものだと話します。

強い薔薇の香りがその場にただよい強い胸騒ぎを感じたメレディスは、護衛達を引き連れ、王冠の間へと急ぎます。このままでは間に合わない、と大地に「王冠の間へ行きたい」と願うと、今まで通路がなかった場所につながれ、王冠の間の次間へワープできます。

そこへ踏み込むと、バリンサスが女王とシーの貴族たちに追及されているところでした。引っ立てられた容疑者のシーの貴族もいます。どうやら誰かにバリンサスがメリーと関係を持ったと告げ口され、以前女王がメリーの子供の父親は絶対にバリンサスにしてはならないと言明していたため、危うい雰囲気になっています。メリーはミストラルと生み出した魔法のため周囲にいた護衛兵たちは種をこぼしましたが、バリンサスは子供のできるようなことを私とはしていません!と経緯を説明しますが、女王はメリーから自分への報告がないと不機嫌なままです。

またニッカとビッディがミストラルとの魔法で結ばれたとも聞き、女王は護衛兵は私かケルに尽くすことになっているが、どうするつもりかとメリーに尋ねます。メリーは自分も女王の血筋であり、自分に尽くしたいと申し出た護衛兵は自分がもらってもよいと女王が言ったと思い出させます。ビッディも私に仕えさせてください、またニッカとビッディは私よりも先に関係を持たせてあげたいと。なぜそんなに彼らを守ろうとするのかと女王にきかれ、長らく宮廷には子供が生まれておらず、魔法の指輪が力を持ち、この吉兆を無駄にはできない、新しい子供を守ることは、シーを守ることだと。

ゲイレンを殺そうとしたシーの貴族キアランとその妻と、ビッディの人間の血に魔法をかけて人間の捜査官たちへ害を及ぼそうとしていまは昏倒してしまっている容疑者(または一族で弁護する人物)を女王が尋問します。

メリーや女王を狙った暗殺犯ショービンでも牢に監禁されているだけですので、ただの護衛兵の暗殺未遂では重罪にはならないだろうと高をくくっている容疑者たちですが、なぜゲイレンを狙ったのか、とゲイレン自身さらには女王から追及されしどろもどろになっていきます。そこで女王はすでにケル王子が得た予言の内容を知っていたのだとメリーはわかります。メリーと緑の騎士が妖精世界に命、すなわち魔法を取り戻すと。

女王は自分が不妊だとしばらく前に気付いたと爆弾発言をします。自分には魔法の指輪は灰色の幽霊の子供を見せることはなかった、と。女王が不妊であれば、その宮廷のシーたちも影響をうけて新しい子供は生まれません。エススはすぐに恋人を妊娠させることができました。30年前にエススに王位を譲っていたら・・・父のエススが女王を愛していることはメリーは知っていましたが、女王もエススを大事に思っていたということを初めて感じます。

また女王はメリーと護衛兵が豊穣の魔法をつかい、昔の女神コンケンに瀕死のがん患者の夫との子供を宿すことに成功したことを宮廷の貴族たちにもメリーから話させ、メリーが命を生み出す可能性のある存在で、またゲイレンとは限らないかもしれませんが緑の騎士はそれを助ける存在であることも貴族たちは理解します。そのためゲイレンを殺そうというたくらみは、妖精の存続をつぶすたくらみであると女王は断じ、容疑者たちは青ざめます。

ドールやフロスト、ゲイレンと共に下がりなさい、とメリーは命令されます。これから拷問または処刑場となる場にその他の護衛兵をのこしていくことは遺憾でしたが、全部の護衛兵をその場から連れ出すことはできません。ハーフィンを自分の治療師として伴う許しを女王に求めると、女王は癒しの能力が消えてしまった者より、ちゃんとした治療師を連れて行きなさいと言いますが、メリーはハーフィンはゲイレンの傷も治しましたし、癒しの能力が消えたことはありませんのでと説明します。ケル王子がハーフィンに癒すことを禁じて、女王には癒しの能力が消えたと偽っていたことに女王は気付かされます。ハーフィンは特例として構わないが、ケル王子に忠誠を誓っているものをどんどん奪うことは許しません、というと、メリーはケル王子に忠誠を誓っているものを奪うことにはならないと思いますと返します。

女王はケルに対して、エスス王子の護衛のなかからケルに忠誠を誓うものがいたらひきとってもよいと話したようですが、女王には護衛兵全員が忠誠を誓ったと言い、護衛兵たちには有無をいわさず自分が女王の命令により全員をもらいうけたと話していたと、ハーフィンも、同じくケル王子の護衛隊員である他のメンバーたちも証言します。ケル王子の欺瞞を知り、女王は衝撃を受けていました。メリーは女性である護衛兵は自分と子供を成せないので、禁欲のルールを解除してもよいと考えていると話します。

ケルに関する真実を知らせて女王を我慢の限界まで押しやったため、メリーはその場から退出します。

宮廷内の割り当てられた一室に戻ったメリー一行ですが、部屋の前には激怒したニサーヴァン女王とその配下たちがまっていました。女王はメリーを礼を逸したと非難しますが、メリーは何のことを言っているのかわかりません。あまりにもたくさんのことが一時に起きていました。2件の殺人事件、ミストラル、アマテオンとの魔法の発現、ニッカとビッディの絆、人間への魔法、女王の前での弁明・・・

ニサーヴァン女王の怒りの理由は、デミフェイである自分の民が殺されたにもかかわらず、さらにはデミフェイが犯人だとして逮捕されたにもかかわらず、デミフェイの女王でもあり、同盟者でもある自分が噂でしか事態を知らされていないというのは何事かといい、自分たちを軽んじている相手との同盟は廃棄するといいはなちます。約束のメリーの血もセイジがメリーたちによってシーに変化してしまい、メリーのところでの任務を解任されたため、女王に血を運ぶしもべもいなくなっていました。

デミフェイのセイジはシーになったことで翼を失ったため、おなじ事態を恐れる部下たちのなかで同じ役割を果たしたいと思うものはいないだろうと女王は話しますが、配下のなかに立候補する人物が現れました。双子の片割れのロイヤルという小さい者で、デミフェイにもかかわらず翼がないため飛べず、以前のニッカ同様、背中に入れ墨のような翼が隠れています。メリーの魔法によって翼が生えたニッカのように、自分ももしかしたら翼が持てるかもしれないからだそうです。

オンディーアイス女王の命令で、今夜はニッカとゲイレンとは必ず寝ないとならないメリーですが、まずは血だらけの身体を流すまえにドールやフロストなどとも意見を交換します。自分の気持ちに常に正直な言動をしてしまうゲイレンですが、今日死ぬかもしれないと思ったときに、自分が死んでもフロストやドールがメリーを守ってくれるだろう、でも生き延びたときには自分はメリーを守るために変わらなくてはと決意したようで、いくつか鋭い意見を飛ばしていました。

今夜ロイヤルがメリーの寝床に侍らないとならないことに関して、フロストがまたスネた発言をしたため、メリーが激怒します。自分は王族であり、王族の血液にはシーの金貨が流れていて、結婚は愛のためにはできないとわかっていると。ただシーだけが至上というフロストの見方は、ゴブリンやデミフェイとも関係しなくてはならない自分を娼婦のように感じさせる、と。フロストは心から謝ります。今夜の当番ではないドールやフロストたちは退出し、メリーとゲイレン、ニッカとキットーはお風呂場に移動します。

キットーの様子が変なことに気がつき、メリーやゲイレンが優しくうながすと、メリーは子供を成せないと考えているシーの貴族もいて、ケルの部下たちは引き続きメリーを狙うだろうと話していたのを聞いたそうです。また自分がいくらシーだとメリーたちが言ってくれても、見下されるのはかわらないと。

シーリーコートで受け入れられない混血児でもアンシーリーコートでは受け入れられるとメレディスは考えているかもしれないけど、それは事実とは違うとキットーは話します。アンシーリーコートのシーだったキットーの母は、彼にうろこや牙が生えだすと、ゴブリンの丘にキットーを捨てたそうです。赤ん坊は食べるところが少ないため、ある程度育ててから食べることもあるようです。キットーはたまたま小柄だったため、それなりに大きくなるまでに時間がかかり、話せるようにもなっていて、育ての親が彼を食べようとするゴブリンたちを撃退してくれていたようですが、あるとき自分の身を守り切れず、キットーも彼女を守れるほど強くなかったと告白します。もしも自分がメリーとの間に子供を成しても、自分が王になることはないし、たぶん殺される、またその場合女王としてもメリーは認められないだろうと。

ビッディとの絆が認められたニッカは、メリーとは最後の夜となります。最後なので、自分の夢をかなえてもいいですか、と申し出て、メリーは喜んで受け入れ、3人で熱い夜を過ごしますが、そのエネルギーの爆発はすさまじく、風呂場の壁が吹き飛んでしまい、ドールやフロストたちが拳銃を片手に飛び込んできました。

メリーがニサーヴェンの部下たちが控えていた隣の部屋にいくと、そこはさながら戦場でした。壁が吹き飛んだ時にとんだ細い木片のようなものが身体につきささっていたり、爆風に吹き飛ばされたり、おもちゃばこをひっくり返したような状態です。すぐにハーフィンに彼らを癒すように命じますが、彼女だけでは手に余る被害のため、助けが必要です。女王に治療師や騎士などもっと助けでをよこしてほしいと伝えてきて、と言いますが、いま女王は捕虜たちを尋問中で、心から拷問を愉しんでいる女王を邪魔した場合、使者がそのまま場に参加するよう強制され、また無事をも保証できません。ドールなら、女王の注意をひいて、頼みを伝えられるだろうということでフロストから推薦され、またゲイレンがいまはメリーの護衛からドールなど重要な人物をかけさせてはならない、自分が敵なら次は彼を狙うはずだと珍しくもまっとうな発言をし、ドールもそれを受け入れ2名を連れて女王のところへ向かいました。

ロイヤルは、腹部から背中に木片が貫通していて、双子のペニーがだから言ったのに! 翼をもらうどころか、命を失うことになったじゃないのと悲しみのあまりヒステリーを起こし、彼を膝に助け起こそうとして却って痛みを彼に与えていることをハーフィンに指摘され、その場からいなくなってしまいます。

メリーは彼の傷をどうしてあげることもできません、瀕死の彼がキスをしてください、と頼むと身をかがめて彼の唇に自分の唇をあてると、身体の大きさがまったく違うにもかかわらず、メリーの身体が愛撫されたかのように火照って、その場に魔法が生まれます。ロイヤルの傷は癒え始め、ほかにもその場で傷から血を流していたものの傷も回復していきます。

メリーは護衛たちみんなを大切に思っているという気持ちを表したくて護衛みんなにキスしてと頼みます。

リースが護衛としては3番手となっているため、自分の命令で命を張っているにもかかわらず、自分の知らないところで死んでいたかもしれない、行方が分からなくなるかもしれないと怪我で腕を吊っている彼に、別れると思うとつらくて涙を流すほど愛せなくてごめんなさい、でも彼がどこか知らないところで死んでほしくないという気持ちでキスをします。

そのうち無傷だったものも、痛みに七転八倒しはじめ、メリーもまたロイヤルとキスをしている最中に彼に突き刺さっていた木片が彼女の腹部に傷をつけていて、そこが激痛に襲われます。

護衛達は敵の魔法か、と緊張が走り、なんとかメリーを守ろうとしますが、ハーフィンにもどうすることもできません。そのうち、ロイヤルや他のデミフェイの背中から何かが押し出されてきて、翼が生まれたことがわかりました。またメリーの腹部には蛾がうごめいています。触ってみると、皮膚の外ではなく、中に存在しています。彼女が動くと、蛾も動き、メリーは蛾の足が身体のなかでうごめくのが感じられて気持ちが悪い事態になっています。そのうちメリーの蛾も落ち着いたら動かなくなる、とリースはアドバイスします。

この蛾のマークはお告げとか、呼びかけというような魔法の象徴のようで、宿主とマークを与えたものとの絆を象徴するだけでなく、マークした人物またはされた人物がどこにいるのか追跡できたり、いろいろとできるようです。オンディーアイスも以前はこの能力をもっていて、リースも彼女に忠誠を誓うとマークをつけられたそうですが、いつしか消えてしまったそうです。

ドールは自分にもマークしてほしいとメリーのそばに寄りますが、どんなものかよくわからないものをマークするなんてと尻込みして彼の胸にメリーが手を当てると、強い痛みがメリーにも傷がついたドールにもありますが、そこに蛾のマークが現れます。どうやらメリーの蛾がうごめいているのは、パワーにあふれているからのようです。フロストは腕をむき出し、自分はメリーの印をみんなに見てほしいからと腕に蛾のマークを宿してもらいます。またキットーも自分もつけてほしいと願い出て、腕につけてもらいます。

誰にでも宿るのかというとそうではなく、メリーをameraudurと呼ぶアデアが宿してほしいと進み出ますが、なにも起こりません。メリーのために戦わないとならないんだろうか、誰がどのくらい献身すれば魔法が十分と判断するのかわかりません。ところがフロストが自分の嫉妬心を抑える必要があっても、メリーには護衛兵が必要だ、自分の兄妹である護衛兵にも無事いてほしいと思う、だから言うがメリーの本質は豊穣だ。彼女と関係をもつには、彼女のために戦うのではなく、恵みを与えなくてはと助言します。

アデアはあまりにも禁欲期間がながく、また女王にも虐げられていたため、温かく受け入れようとするメリーのことがなかなか信じられないようでしたが、触れ合うとそこから魔法が生まれ、気が付くとどこか違う世界にいます。そこには泥のなかに沈んだアマテオンもいて、彼ら二人がメリーと愛し合うことになります。アデアは自分は種をまくもので、アマテオンは土を梳くもの、そしてメリーは土に命を与えるものだと話していました。3人が終わってぐったりした瞬間、女王と配下たちが部屋に入ってきます。

前後を男性にはさまれて周囲には気を配っていなかったメリーでしたが、彼らの魔法で部屋には小川が流れ、泉が湧き出していました。女王は引き出された内臓を綱代わりにして、捕虜のひとりを引きずってきていました。警察官や科学捜査はもう必要ない、よい拷問がよい自白を生むと、女王は満足げです。ベアトリーチェとは痴情のもつれで鋼のナイフで彼女を刺してしまったけれど、まさかそれで死ぬとは思わなかったと。また新聞記者には現場を見られてしまって殺したという自白でした。メリーはそれが真実かどうか科学捜査の裏付けが必要だと内心考えますが、上機嫌の女王に言い出せません。

女王は新しく生まれた庭に、岩山が似合うのではないかと提案しますが、メリーがどう答えても妖精の丘が彼女の命令を聞くという事実が女王を面白くは思わないことはわかっていて、答えに困ってしまいます。この庭を発現させた魔法は3人で生み出したものですので、3人で相談してもよいですか?と尋ねるメリーに女王は自分の臣下に意見を聞かなくてもよい、命令すればよいだけというものの、意見を聞きます。そうするとアマテオンとアデアはそこに太陽に明るく照らされる樫の木や芝生はどうでしょうかと提案し、妖精の丘が実現させていき、地下の世界にもかかわらず、太陽が生まれます。

女王がまたメリーはどうやったら礼儀にかなった発言をしながら内心侮辱しているという風に表現できるの、返答に困ることを言ってきて、嘘を言えば魔法に裏切られると、真実を言えば女王に罰せられるかもしれない、でも本当のことを言うしかないと、私はあなたが嫌いですと言い、周囲は息をのみます。女王が、貴方が即位するまえに、私と一晩過ごしてくれないとと命令します。

横に控えていたドールが、陛下なぜエスス王子が即位なさらなかったのか、理由をお聞かせくださいと聞きます。彼が私を愛していたから、と女王は話しますが、それでは十分な説明ではありません、と言い返されます。彼が私を殺せないくらい愛してくれていたから、と言い直します。ドールにあなたは私の影だったはずなのにと女王が恨み言を言うと、仕事としてあなたのそばに仕えていました。あなたを愛する心はあなたが殺したのですと。メリーは自分たち一人ひとりに向き合ってくれるのです。私は彼女に忠誠をつくします。貴方がメリーと一晩過ごせば、女神が魔法を復活させている理由である彼女の心の一部が殺されてしまいます。それは新しい魔法を殺すことです。エスス王子はあなたを愛するがゆえに、貴方を殺せませんでしたが、メリーは違います、と脅します。

みんな退出するように! と女王は命じ、みんな速やかに退出します。拷問されていた容疑者以外は。

部屋の外に出ると、ゲイレンなど他の護衛兵たちがメリーのもとに向かってきました。どうやらキットーの蛾がメリーのいる場所まで案内してくれたようです。しばらくみなかったオニルウィンが一行のなかにいて、メリーに本当の忠誠を誓いたいと申し出ます。自分の忠誠は女王のもので、ケル王子にではなかった。彼には追従者とセックスパートナーしかいないと。彼の表情に嘘はみられませんでしたが、保身のためなのか、本心の忠誠なのかは判断がつきません。ケルが牢獄から出てくるまでに、どのくらい離反者がでるのか。扉の中から悲鳴が聞こえてきて、ドールがこのままここにいては女王が姿を現した時に次のおもちゃになる可能性がある、と移動を提案し、ひとまずその場から離れることにします(完)

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